マルチポジションハンドルバー


導入

 シクロジャンブルにて300円で入手。
 検索の結果、SCOTT AT4 Pro Handlebarだと推測される。1990年代の代物のようだ。
 よく見るバタフライハンドルと違い、前傾姿勢が取りやすそうなので買ってみた。

 ハンドルの先端に付ける部品や、グリップなどは、残念ながら付属してなかった。
 アルミ製で、案外軽く、長いのでフニャフニャ。明らかに撓りがわかるハンドルは初体験。

 早速ハンドルの交換に取り掛かるが、ハンドル周りのパーツのネジが、錆びて半固着しており、
 回すのに苦労する。ポジションを変えなくても、ネジのメンテナンスは定期的に必要なようだ。

 その上、マルチハンドルバーの曲がり部を金属クランプが通過できず、パーツ移植も苦労する。
 試行錯誤した結果、ラピットファイヤーはクランプ部を広げる事で通過。
 ドロップバーエンドは広げるだけでは通過できず、クランプ部を多少削り、無理やり入れた。
 その結果、マルチハンドルは傷だらけになった。(未使用品と言う事だったので購入時は無傷。)

 クランプを広げるのは、木を円錐状に削って叩き込み広いた隙間に噛ませ物をして開口を保持。
 物がアルミなだけに壊れないかちょっと不安だったが、無事に移植できた。

 後々にハンドルから外す時には、この方法は使えないので相当苦労する事が予想される。
 左側のドロップバーエンドの六角ネジは舐めてしまったので、要交換。

 バーエンドバーは、付ける場所が無くなり、ガラクタ箱へ。

 ミラーは、マルチバーの先端に差し込んでも後が見えず、意味がないので、
 くねくねバー部を、ハンドルが握れる程度に短く切り、クランプを戻して、取り付けた。

 GPSロガーは、ハンドル先端部へ移動。

 マルチポジションハンドルバー側面 マルチポジションハンドルバー上面


 今まで黒で統一していたのに、ハンドルがグレーになってしまったので、
 ハンドルグリップかバーテープを取り付けたいところ。

 代替品には、熱収縮チューブ、テーピングテープ、プラスティックテープなどが候補。
 ビニールテープを巻くのは避けたいところだが、、、塗装するのが一番いいかもしれない。

 100均(シルク)に黒のテーピングテープが売っていたので巻いてみた。(写真はそのうち・・・)
 巻きたての頃は気持ち良かったが、使い込むと手垢が目に詰まり微妙な感じに。
 ハンドルが長いので1本では片側分足りず、全部で3本使用したが300円+税ならまあ安い。
 黒に拘らず、白で良ければドラッグストアで買う方が安い。(12mで300円ぐらい)
 微妙ながらも、汗で滑らなくなり扱い易くなったので、このまましばらく様子見。

 テーピングテープの欠点
  ・濡れるとベトベトになって気持ち悪い。(水浴びで手が濡れていたり・濃霧の時)




使用感


 現在、使い勝手を検証中であるが、
 以前の状態に近い感じで、扱いやすいようにすると、ドロップバーエンドが幅300㎜と、結構狭い。
 先端がDHバーっぽくなっているので、DHバーを買う必要がなくなった。
 ただ、腕を置くのは相変わらずハンドルの上なので、肘当てが欲しい。
 扱いなれてきて、シフターの上に腕が乗るので、肘当ては必要ないと思うようになってきた。
 
 ミラーが前方へ移動したことにより、かなり見やすくなった。

 ブレーキが引ける常用ポジションとしては、
 ドロップバー上部、フラットバー部、ハンドル手前外側の3か所。

 それ以外の使えそうなポジションとしては、
 シフター握り、ドロップバー下部、ハンドルサイド部、ハンドル奥外側、ハンドル先端の5か所。

 ハンドル奥外側は握りにくいので、小さな角グリップを取り付けると良さそう。
 
 走り方は、ブレーキのあるシフター周辺が基本ポジション。
 走り始めは高ケイデンスを意識し、フラットもしくは下ハンが主。
 脚が上がらなくなって来たら、DHポジション(以下、DHp)でだらだら低ケイデンス巡航。

 下ハンとDHpのペダリング相性があまり良くないのか、
 ポジションを入れ替えると、パフォーマンスが低下する。
 使い慣れれば、どちらの特性も引き出せる事を期待する。
 


フラットバー+ドロップバーエンド+バーエンドの状態から比べてどうなのか、まとめ。

 ◎ミラーが見やすくなった。(雨天・夜間は実用的でないかも?路面次第な感じ)
 ○多彩なポジションが取れる。(扱い慣れるまでは微妙)
 ○DHpを安心して構えられるようになった。 (巡航がとても楽しい)
 △低ケイデンス巡航が気持ち良く、ケイデンスが上がらなくなった。(現在改善中)
 △フラット部が短くなったので、低速走行が不安定になった。(疲労時に休むポジションがない)
 ×立ち漕ぎがやりにくくなった。 (ハンドル引き・高回転・休む等のダンシングを練習中)
 ○ケイデンスを上げる時は下ハンが有益。(マルチポジションバーは関係ない)
 △DHpと下ハンのペダリングの相性が悪い。(実力不足)

 DHpの有益性は確認できた。しかし、フラット部が狭いので扱いにくい自転車になった。
 フラット、ドロップ、DH。この3つを違和感なく使いこなせるハンドルが欲しいものだ。













以下、使ってみた感想の記録

 最初はポジションが変わった事による違和感が強く、扱いにくいと感じる。
 バーツの位置を調整しながら走っていると、だんだん扱いに慣れ、悪くないと思うようになる。

 ミラーが前に出たことにより、後方確認がしやすくなった。
 前傾を構えても、後ろが見えるようになったので、かなり安心できる。
 あとは、補助ブレーキを取り付ければ完璧。

 先端部は、程良い湾曲で握りやすい。しかし、動きはクイックになるので、少し神経を使う。
 センターバーの時よりも前に出ているので、空間が広く取れ、狭苦しくない。

 DHpは微妙な操作が得意ではなく、白線の上をまっすぐ走るのがかなり難しい。
  → 体幹で走れていない証拠? (ハンドルに頼り過ぎ)

 腕をハンドルに預けられるので、かなり楽に走れるはずなのだが、慣れてないのか、
 巡航というレベルでは、まだ使いこなせていない。

 大分慣れてきて、巡航レベルで使いこなせるようになってきた。
 DHpは負荷調整や、呼吸がしやすく、軽く息を上げた状態が維持できるようになった。
 下ハンだと上体が疲れるのだが、DHpは非常に楽に走ることができる。 

 ドロップが近すぎるのではないかと思う事が時々ある。
 DHpは前乗り気味であり、ドロップポジションは後ろ乗り気味なので
 DHからドロップへの切り替え時に、座位が変わらないとそう思うのだろう。
 一度、ドロップを奥の方へ付けて試してみるのがいかもしれない。

 前傾になると、ハンドルに結構な体重を預けているのか、
 ポジションを戻す時に、ハンドルを押さえてしまい、ふらつく時がある。
 周囲に何かが近づいて来た時に、安定させるために構え変えるのに、
 ふらついてしまっては、逆に危険なので、ハンドルを押さえないようにする練習が必要。

 ハンドルに体重を預けているのがそもそも良くなく、
 骨盤を立て、ボールを抱きかかえるように腹筋で上体を支え、
 前蹴りの感じで漕ぐと、前屈してるような感じになり、悪くない。が、姿勢はかなり辛い。
 この状態で力を抜いて巡航すると、結構良さそうな感じはある。
 今のところ1㎞も維持できないので、とりあえず10㎞は維持できるようにしたい。

 DHpは、楽して走るものであり、やはり体重を預け、低ケイデンスで走ってしまう。
 現在はハンドルを少し引きつけ、上体を固定して走っているが、腕が結構疲れる。
 この状態で、腰を入れながら踏んでいくと、非常に心地良く、
 通常ポジションに戻った後も、いい感じに踏めるようになる。
 ペダルからの足離れが良くなると、ハイ状態に入りやすく、走り続けたくなってくる。

 つい頑張らなければと思ってしまうが、元々はフラットバーの上に腕を置いて走っていたわけで、
 DHpの恩恵を受けるのに、ハンドルを引く必要はなく、体を預けるだけで良い。
 それよりもリラックスして、長距離を安定して出力することが大切。

 加速時に、ハンドルをめいいっぱい撓らせてみたが、走行に影響がある程ではなかった。
 おそらく知らなければ気が付かない程度だと思われるので、気にしない事にした。

 先端を握ると腕の骨がハンドルに当たって痛いが、
 少し手前の湾曲部を握ると腕の肉がハンドルに当たり、痛くない。
 その上、シフターの上にも腕が乗るので、肘当ての必要性を感じない。

 扱いに慣れてきたのか、先端を握る正規のDHpも出来るようになってきた。
 先端を握り、手前に引きつける事で上体を固定し、腰も前へ引き寄せれられる。
 ペダリングは出来るだけ持続できるように、無理なく軽く押し込む感じで効率を高める。
 指が固まってしまう程度に握力を使うようなので、攣らないように注意が必要。
 楽に走る感じではないので持続距離は長くはないが、
 出力が高く、軽い登坂ではダンシングよりも速く走る事が出来た。

 外側奥は、なかなか使いどころがわからない。
 マルチハンドルをもっと起こして取り付ければ、
 アップライトポジションとして生きてくるかもしれない。
 1980年代のTTはブルホーンだったようなので、巡航には向いているのかもしれない。

 DHp巡航時、腕の負荷分散に、外側奥は有用だった。
 ただあまり快適なポジジョンでないのか、長時間維持しようとは思えなかった。
 これも乗り込んで行けば、変わってくるかもしれない。

 外側奥の使い方が見えてきた。
 登坂時は自転車が傾くので、ポジションを前側に回転させるべしとよく言われるが、
 外側奥を握る事で、フラットバーが前に出る感じになり、いつもより気持ち良く坂を上れた。

 サイド部は、立ち漕ぎする時に握ると良さそうだが、ブレーキが引けないので常用はしにくい。

 外側手前は、幅500㎜程度で、気楽に走るに丁度良い。
 この位置からも、親指でブレーキを引けるようにしてから、安心して走れるようになった。
 リズムよくハンドルを押さえながら走れると、結構心地良い。

 フラット部は、外側が曲がってるので、かなり短く感じる。(実際短いのだが)
 以前のフラットバーは、手前に曲がっていたが、これは、奥へ曲がっているので、ちょっと疲れる。
 ブレーキとシフターがここにある以上、基本ポジションは、ここになる。
 しっかりブレーキをかける際は、ここを握らないと不安。

 シフター上部は、ケイデンス高めで軽くリズムを取りながら走るのに丁度良い。

 ドロップバー上部は、幅300㎜程度とかなり狭くなったが特に問題は感じない。
 以前のセンターバー的位置であり。常用したいところであるが、手を添えるにはちょっと痛い。

 ドロップバー上部奥に手を添え、軽く引く感じで走れる時が調子が良い。
 ドロップバー上部手前に手を添え、ボルト部に体重を乗せているようでは走りもいまいち。

 ドロップバー下部は、後ろ乗りで巡航するのに丁度良い。
 幅が狭くなったので、ハンドルを引きにくく、本気で走るには使いにくそう。

 ドロップポジションは、ケイデンスを上げる、インターバルをする、ヴォクレールをイメージする、
 などに有益で、フォームを体に馴染ませるのに丁度よく、
 その後に、他のポジションへ移行すると、軽快に走れる事が多い。  

 DHpは、ポジションが悪いのか脚が回らず、低ケイデンスでだらだら巡航するのだが、
 尻で漕ぐを意識して、ケイデンスを上げて走ると、下ハンが非常に回しやすい。
 骨盤が立つことにより、腕への荷重が減り、速度が良く伸びる。
 しかし、回す事に慣れていないと、すぐに疲れるので、その後はDHポジションが楽になる。

 センターバーが無くなった事により、加速力に多少の不安があったが、
 車列の中にいても、問題なく加速できているようだ。

 夜間走行時、走行の振動で、ライトやミラーが激しく暴れる。
 ライトはいろいろポジションを変えてみて、何とかなりそうな感じにはなったが、
 ミラーはライトや街灯が筋になり、後ろに何かがあるが、何なのかがわからないので、
 街中では実用に耐えがたいかも。暗い道では後ろから何か来た事を認識できるので役立つが、
 距離感がつかめないので、昼間ほどの安心感はない。
 ただ、車体のどこにミラーを付けたところで、サスの無い自転車では振動は避けられず、
 車体取り付けで、夜間に実用的なミラーと言うのが実現できるのか疑問。
 路面が綺麗ならそんなに暴れない事を確認。路面次第ではないかと思う。

 雨天走行時のミラーの視界も不明瞭で、実用的ではない感じだった。
 雨天の場合は湿気で曇る問題もあり、100均ミラーでは厳しいか。

 一定のペースで走る巡航では、DHpが楽しいが、
 インターバルをやってみると、下ハンが一番走りやすかった。
 高出力が必要な状況では、ドロップハンドルが有益そうだ。
 
 幅広のフラット部がない事により、疲れた時にハンドルを引けない。
 脚が終わった後に、誤魔化しながら走る方法が今のところ見当たらず、
 ロングに行くのが躊躇される。

 突っ張り走法覚醒中。
 サドルに太腿を引っかけて、ペダルを突っ張る事で、疲れても少し頑張って走れるようになった。
 苦痛に耐えるレベルでの脚が終った感があるロングは走っていないので、
 どの程度使えるか未知数ではあるが、 そのうち試してみたいと思う。

 休むダンシングが出来なくなっていた。立ち漕ぎ自体をあまりしなくなっていたのも関係あるかも。
 立ち漕ぎの使用率を上げて、いろんな走り方を練習中。

 フラット部が短いのは何かと不便だと実感する。
 ロングを走るには楽に走る事が必須になるので、休むポジションがないのは辛い。

 いろいろ試してみて、自分の好みは横幅の広いエアロバー系ではないかと思う今日この頃。
 日本ではロードバイクやランドナーはステータスなのか、ドロップハンドル推しが多いが、
 世界ではフラットハンドルを基本とした構成のツーリング車が主流らしいので、
 方向性は間違っていない…ような気がする。 クロスバイクはフルリジットMTBみたいなもんだし。